私の特技???
数字を覚えられない。人の顔と名前を覚えられない。車はいいけど歩くと迷子になる。
そんな特技???とも言える才能を持った私の、自分でも驚く現実が職場で起こった。
うちの職場は取引先からのオーダーが入らないと仕事がない。忙しいときは14時過ぎにお昼になることもある。結局はクライアント次第なわけだ。
そして私の前に座る≪薄井さん≫
(名前を知らないし、仕事で関わることが一切ないし、頭の後ろがかなり薄いので勝手に≪薄い≫さんと呼んでいる)
この薄井さんは本当に仕事がない。つまりオーダーがほとんどこないのだ。週に一度注文が来るか来ないかだ。だから薄井さんはいつも休憩時間が非常に長い。
午前と午後。ランチタイムの他に無料で15分ほど休みをもらえるが、薄井さんは30分は戻ってこない。つまり1日2時間の休憩をしているわけだ。
そんな薄井さんは競馬の話ししかしない、実に話題性の少ない男だ。聞いていて本当に退屈な人ではあるが、関係ないので話しもしない。
そして行きや帰りに良くニット帽をかぶった男の人に会うようになった。毎日毎日同じニット帽をかぶっている(洗っているのかな? なんかめっちゃ臭そう)。
これがまた私の好みから大きく外れるのだが、その声が実に良く似ているのだ。仕事をしない薄井さんに。
“こういう体型の人って、声も似ているんだなー”
(その声も好きではない)
なーんて思いながら過ごした2ヶ月も経った先日。
ニット帽の男の人=薄井さん
ということが判明して驚いた!!!!
なぜわかったのか。
それはニット帽の男の人が競馬の話しをしていたからだ!!!
まさか薄井さんとニット帽の人が同一人物だったなんて! 本当に驚いた!
逆になぜ2ヶ月間もわからなかったのか。
それは制服を着た姿と私服でニット帽をかぶった顔つきがまったく別人に見えたせいだ。
ましてや私は人の顔を覚えられない。名前もすぐに忘れてしまう。
だからニット帽が薄井さんなんてまったくわからなかったのだ。
すぐ目の前にいる薄井さん。
こんな人が自分の親でも兄弟でもなくて本当に良かった。
と、しみじみ思う今日この頃だ。
しかし……驚いた……( ̄▽ ̄;)