【舞子と叔父さん】第1話
---両親が交通事故で亡くなったのは2年前のこと
だった。母の妹夫婦に引き取られた舞子は、18歳になった。
「舞ちゃん、今日は何作る?俺も手伝うよ」
優しく声をかけたのは叔父であるかずひろだった。
「かずさんはお仕事で疲れてるんだから大丈夫!私が美味しいの作るから!」
最近、叔母の園子は家を空けることが多くなった。
それもそのはずで、夫婦の間は完全に冷えていて園子にはずいぶん前から彼氏がいる。私を引き取ることになった為、18歳になるまでは離婚せずに養育しようと仮面夫婦をやってきたのだ。
先週、高校の卒業式が終わった日の夜、園子が涙ながらに打ち明けてくれた。
自分の為に我慢してくれたことが申し訳なく、義理の叔父であるかずひろには足を向けて寝れないくらい感謝している。
今晩のおかずはかずひろの好きなハンバーグにした。
美味しい美味しいと頬張るかずひろは可愛い。
洗い物をしながら、ソファに座っている後ろ姿を見つめていた。叔母よりも3歳下のかずひろは32歳。叔父というより兄のような存在だ。2人の結婚式に出席した時のことは忘れられない。こんな素敵な人が叔父さんになるなんて!と胸を高鳴らせつつ、園子のことが心底羨ましかった。
両親との別れはつらかったが、かずひろとの生活が少しずつ私の寂しさを埋めてくれた。
「ごめんな~洗い物させて」
急に振り向くからドキドキしてしまう。
「ううん、終わったからお風呂入るね?」
園子がいる時はそこまで意識しないのに、2人きりだと思うと変にソワソワして落ち着かない。いつもより念入りに体を洗った。
「かずさん、お風呂あがったよ、、あれ?」
かずひろはソファでうたた寝していた。
「まったく仕方ないなぁ」
毛布をかけながら、その寝顔を見つめていると、どうしようもなく愛おしい気持ちが湧き上がってくる。
気がつくと顔を近づけていた。
唇まであと数ミリというところで…
「う~ん…むにゃむにゃ…」
かずひろが寝返りをうち、反対側をむいてしまった。
2話に続く