【舞子と叔父さん】第3話
「かずさん!!早く来て!!!」
急いでパンツとTシャツをつけているかずひろを見ないよう壁を向いていたが、早くしないとアレがどこかに行ってしまう!と焦る。
「ど、どうしたの?舞ちゃんっ…」
「いいから来て!!」
Tシャツを掴むようにして自分の部屋に連れていった
「あれ、、ほら、、見て!!イモリ?ヤモリ?わかんないけど…やだーー!!!」
「あ~壁チョロだな。ヤモリだよ。家を守るからヤモリ。よーしよし、、すばしっこいなこいつ!」
「いやー!!早く、、やだ、こっちきた!」
格闘すること数分。なんとかヤモリを捕まえて窓の外に出してくれた。
ふう…2人して大きな息をついた。
落ち着いて考えると、お風呂上がりの人を捕まえて、しかもパンツとTシャツのまま引っ張ってきてしまった。
「あ、ありがとう。あのごめんね?」
気まずい思いでそぉっと顔を伺うと、かずひろが優しい顔でこっちを見ている。
ああぁ、、やっぱり好きだ…この人が。
体が自然に動き、気がつくと大きな胸に飛び込んでいた。
「怖かったよぉ…。」
ヤモリのせいにしよう。今だけこうしていたい。ぎゅっと背中に手を回ししがみつくと、かずひろは背中を優しく撫でてくれた。大きいな手がゆっくり動いている。
「かずさん……私…す……き
じゃないの、ああいう爬虫類」
思わず、、
好きだと言いそうになりごまかした。もうすぐ離婚して、かずさんは新しい人生をスタートさせる。そんなタイミングで私から告白をされても困るだけだ。
これが最初で最後。
いい思い出ができたな、、
そっと身体を離そうとすると、撫でていた手が止まり、その手が私の背中を強く抱きしめた。
えっ?
「舞ちゃん…もう少し…だけ…」
切ない声が耳元に届いた。
4話に続く