『1つ前の駅で…』【第3話】
勝地は自分の白く温かいものが勢いよく
菜々の喉に当たっているのを感じた。申し訳ない気持ちはあったが、あまりの気持ちよさに負けてしまった。
はぁはぁ…
「ご、ごめん。出して?ほら、、そんなの飲んだらダメだよ。」
目の前にティッシュを差し出されているのに
菜々は目を白黒させてごくんと喉を鳴らした。
「え?飲んだの?ちょっと!ダメだって」
慌てる勝地を見て菜々は声を出して笑った。
「かつじさんてほんとに優しいんですね」
菜々は渡されたティッシュで勝地のモノを綺麗にしながら微笑んだ。
☆☆☆
立てない彼女をおぶって駅の窓口に行くと
休憩室で休むように言われた。駅員と相談し、病院で点滴でもしないと無理だろうと救急車を呼ぶことになった。
家族の人に連絡できるか聞くと一人暮らしで
呼べる親族もいないと言う。乗りかかった船だ、自分の家に近い救急病院に行くというので付き添いをすることにした。
誰もいない病院の待合室の椅子に座ると、勝地は自動販売機で甘いコーヒーを買った。
今日初めて会った女性の具合を心配しつつ、何かフワフワとした不思議な心持ちだった。
背中に彼女の感触が残っているようで、ポリポリと背中をかきながら思った。
今日は本当に違う駅に降りてしまったなぁ…
と。
4話につづく