僕がお定さんに、なんべん恋をしましたか、と云つたら、たつた一度なんです、それがあの人なんです、三十二で恋なんて、をかしいかも知れないけど、でも一度も恋をしないで死ぬ人だつてタクサンゐるんでせう、と訴へるやうに僕を見た。
坂口安吾 『阿部定さんの印象』より
好いたヒトに好かれる、
これ即ち、普通ならざる事なり。
感情に振り回されての振る舞いでお相手に嫌厭されるも、恋をするなら感情無くしてはあり得ない。
愛しいヒトの性癖に陶酔し、激越の感情の遊びの果てに死んでしまったから、たゞ二人の世界を信じて、至極当然に、男の一物を斬って胸にだいた。
純愛一途のせゐであり、むしろ可憐ではないか
…なるほどネ。
それはそれで とってもすてき。
『あなたとセックスしたいです。』
私、どうかしてる。っておもう。
そんなこと
どのくちびるが どの指が紡ぐのか、
確かめに来てよ。
そんな
グチャグチャになった、春の夜。