こだま日記(67)
*流歌*(53)
岩手・不明/その他

夜道

17/7/7 23:29
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ある晩、仕事からの帰り道の事


すっかり暗くなった道を急いでいると
行く手に何か落ちているのが
月明かりに見えた

田舎道ゆえ石か何かと思い
そのまま進むと



その何かが
のそりと動いた


飛び上がるほど驚いたが
よくよく見れば
大人のこぶし2つ分ほどの大きさの
カエルであった


そのような大きさのを見たのは
初めてだったので
カエルだという事にまた驚いたが
正体が判ればなんという事はない

再び家路を急いだのであった



またある晩の事

やはり家路を急いでいると
どこからともなく犬が現れ
後になり先になり
ついてきた

私は当時大変犬が苦手だったので
思わず走り出したい衝動に駈られたのだが
そんな事をすれば
喜んで走ってついて来るだろうと
思ったので
必死で我慢してそのまま歩き続けた

結局家までずっとついてきたが
玄関の戸を開けると
どこかへまた去っていった




私が小学生の頃
子ども会の夏休みの行事で
夜回りがあった

うちの集落の消防団の大人と一緒に
子ども達10数人が集落内を巡るのだが
あるところまで来た時
私達子どもは驚倒した


街灯の灯りの届かない暗がりに
大柄な男性が
腕組みをして立っていたのである



そしてその男性は
下帯1つの姿であった


暑い夜であったかもしれないし
その男性は
少々呑んでいたのかもしれないが


いくら何十年も前の話とはいえ
下帯姿で外に突っ立っているというのは
当時としても異様で
今でも鮮明に覚えている


(その男性がなぜその姿で外にいたかは
判らない)


あれから・・・

あんな大きなカエルは
見たことないし

勝手に外をうろついている犬も
ほとんど見かけなくなった


今の時代
お祭りなど特別な機会でもない限り
下帯姿で外にいたら
完全に変質者扱いである



思えば

のどかな土地
のどかな時代であった




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