『なんで産んだのっ！』
成人式の時期になると必ず思い出す
私が忘れてはいけない記憶
母親に放ったあの言葉
中学2年だった
あのころは、親の一言一言にイラッとした
その時の母の表情は今でも忘れない
どれだけ悲しい思いをしたのだろうかと
懺悔の念
裕福とは言えなかった幼いころ
父の怒鳴り声にただ黙って忍ぶ母だった
自分のことは後回し
おしゃれすら滅多にしなかった母
趣味に費やす時間もほとんどなかった
そんな母が成人式に
当時はなかなか高価な腕時計を買ってくれた
今、思うと
かなり無理して買ったのだろうと想像がつく
そんな母もいまやすっかり小さくなり
白髪のおばあさん
それでも母の味は健在で
お正月にはたくさん料理を作って
家族に振る舞った
そんな母を見ていて思った
この母の味を受け継ごうと決めた
この母の精神を受け継ごうと決めた
大切な家族のために
家族が喜ぶ笑顔のために
家族の健康のために
そのために頑張ってた母
私がこの世に生を受け
1歳のころに死にかけた私だけど
それからは健康が取り柄で
今日まで生きてこれたのは
母がいつも私を守ってくれていたから
そんな母の味とその母の愛情を私が受け継ぎ
そして、このお腹から産まれた私の娘に
しっかり受け継ぐことが
私ができる親孝行なのだと思った
私には母は越せない
私には足元にも及ばない
けど、母に並ぶべく
これからも修行の道は続く......