【草薙電脳艶戯倶楽部】(625)
草薙(48)
ヒミツ・不明/その他

【stilla】

24/3/19 18:47
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狭いシャワールーム内でひとり、
前代未聞の事態に焦っていた。

「まだ出ないの……大丈夫?」
立て付けの悪いドアの向こうから呼ぶ声に、
ますます焦りはつのる。

持って入ったはずのタオルが無い。
皮膚表面に水滴は無い。
けれども、ただひとつ。愛液が止まらない。
性的高揚など微塵も無いのに、あふれて止まらない……

……と、
こういう類の夢を見た事はかつて無かったため、
気になって、調査開始。

排泄系の夢というのは幸運・開運傾向の暗示であることが多い、ということは以前から知ってはいた。
しかし今回の場合は排泄ではなく、どちらかというと、
「体液の損失」に相当するようだ。
「身体の一部である体液が失われる」→「保持していた対象との別離」という説が、どうも有力らしい。

また、「別離」=凶夢、というわけでもなく、新しく何かを得るための別離であるとする考え方もある。

春は、別れと出会いの季節。
そう思えば確かに、今の時季にふさわしい夢ではあるな、という納得に至った。

どうでもいいが、
どうせ体液を損失するなら、もう少し艶めいた気持ちになりたかったな。


もとい。

吉夢であれ凶夢であれ、そのチカラは、
「第三者に吹聴した時点で失効する」という説を採用し、隠語を堂々と書き並べることのできるこの場所にて、
失効を企図させていただいた、という内情を暴露しつつ。




では、また。
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