【草薙電脳艶戯倶楽部】(626)
草薙(49)
ヒミツ・不明/その他

【session 3】

24/2/6 12:49
52 30
長男と先輩をライブ会場まで送り届けた後は、
事前に調べておいたイングリッシュパブとやらでビールを2杯。
窓近くに座れたので、外の風景をながめながらしばし、のんびり。

知らない場所で、常ならぬ時間帯に飲む、いつもは飲まないビールは何だか愉快になる美味しさで、2杯程度でもぼんやり酔いが回って驚いた。

残りの1時間は、酔い覚ましに駅周辺を逍遥。
寒風が吹き気温も低い夜だったのに、気分が高揚しているせいかあまり寒さも感じず。絶対に買わないようなブランドがずらりと並ぶその前をさも、ウィンドウショッピングしているふうに歩いた。

幕張駅のきらめく人工光と、静かな月の光。
まるで、いつかのフェスの夜空みたいだった。

それでも時間が余ったので、商業施設内フリー休憩スペースに座って、長男たちを待った。
今回のライヴは「プロジェクト・セカイ」という音ゲーのバーチャルライヴ。
夢を実現するために奮闘する少年少女たちを、初音ミクたちボカロ勢が、仮想現実から応援するというストーリー。

そりゃ、中学生が夢中になるよなぁ。
ヒトは、ひとりじゃなかなか、がんばれない。
私だって応援してほしいもの。初音ミクに。

中学3年生の時に、裏紙などに志望校の憧れの制服を描いてはひとり、受験への士気を高めていたことを思い出す。
かように自家発電にかけては名人で、今だって単独行動を好んではいるが思えば、自分にとっては家庭という基盤ありてこその、自由。

かつては背負い込んでいる意識しかなかった家族や家庭を、「基盤」と思えるようになった環境と自身の変化にしみじみしていたら長男から、ライヴ終了のLINEが届いた。

すっかり酔いも覚めた帰路。
電車内は幕張と浦安、両方の夢からいまだ覚めないそれぞれの信者たちであふれている。
この場においては、数少ない普通のオバチャンである自分が少々、寂しくはあった。

中学生ふたりはライヴ疲労からの、居眠り。
ふたりぶんの寝癖がピョコピョコ揺れて、そのアホ毛がもう二度とは戻らない、貴重なひとときの風景に思えて、切ないような、幸せなような気分になれた。

今回の体験は、様々な変化を長男にもそして私にも、もたらしてくれたように思う。
その諸々についてはまた、後日に。

では、また。( ᵕᴗᵕ ))
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