私はホラーは洋画より邦画しか遥かに怖いと思ってる。
洋画ホラーは好きなジャンルだが正直全然怖くない。
しかし、こちらは邦画っぽい独特な怖さがあり、ただただ圧巻された。
流血や残酷シーンで怖がらせるホラー映画とは一線を画する、「精神的に怖くなる」良質なホラー作品。
久々にかなり質の高いホラー映画を観た気がした!
まず、検視官という、なかなか馴染みの薄い職業の仕事ぶりが垣間見れてとても興味深い。
仕事として、淡々と遺体を解剖してゆく様子は、不気味だけど面白い(という語弊があるが)
植木の高枝切りバサミみたいな肋骨バサミで、ガキガキ肋骨を切って胸部を切開してゆく様子はなんかスゴい…。
日本のどこかで、今日も「本当に」こういう作業をしている方がいると思うと、ちょっと不思議な感覚に襲われる。
また、頭が下がる思いがした…
そして、明らかになってゆく遺体の異常な状況…この展開が巧妙で、気持ち悪いのに目が離せなくなる。
「精神的な怖さ」「得体の知れない恐怖」を醸成するホラーとして非常に質が高く、どこか日本やアジアのホラーテイストに近い気がした。
死体の足につけた鈴がチリンチリンと鳴って、ドアの向こう側に何かが近づいてくる演出は最高に怖いと思った……
気持ち悪くも「美しい」魔性の遺体も、ミステリアスで凄くいい…。
死体がリアル過ぎでグロ度も結構高いので、苦手な方は注意した方がいいが、ホラー映画としては屈指の完成度でオススメ出来る。
様々なホラー映画をみて食傷気味になっている人間には天然水のような口直しになる作品だ。
善なるものは悪に勝てない。神もいない。人間の希望を全否定、一線を越えた闇が怖さの元
人間はどこかで期待している。善良であれば、天が助けると。しかしこの映画は違う。
一番怖いシーンは、皮膚を剥いだら裏……
びっちりのシーン。
このシーンで、絶対、人間の仕業じゃない。そしてこの邪悪な何かから、絶対に逃げられないと悟るシーン。
これが怖くない人は、人をきちんと見ない人、だと思う。