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和歌山・不思議系

パーフェクト・ワールド

21/2/19 09:08
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パーフェクト・ワールドを自流で訳せば「神の国」
 しかし、実際に映画を見ると、何が「パーフュクト・ワールド」なのかと誰もが思うはず。タイトルの意味がよくわからない。しばらくもやもやとして過ごし、ある日なるほどとひらめいた。映画の中のあまりにも「この世的な世界」しかし、そんな平凡な日常にこそ、「神の国」が現れるのだと。
 パーフェクトとは、語源では「完全・完ぺき」という意味ではなく、むしろ「健全」に近い。つまり、パーフェクト・ワールドは、彼岸にある浄土や完ぺきな理想ではない。ギリシア語の秩序世界・宇宙・調和を意味する「コスモス」も、聖書ではむしろ、「不敬虔な民」「被造物全体」という意味で用いられている。そこでは善悪が渾然一体となる。さまざま出来事を通して人間に注がれている神の慈愛が、光のように輝き出す刹那。人間の生死すらも、この愛の一幕なのだ。つまり、神の国の現れ出る時、この世はパーフェクト・健全なワールドなのだ。
つまりパーフェクト・ワールドとは、この世に神の愛がきらめく瞬間・カイロスをいう。それに私たちも参与しているのだ。だれも絶対的な神の目にはなりえない。でも、自分の歴史性を了解する視点が、このような混とんの時代にこそ必要だ。その時、人は自分も人類史につながっていることを悟りうる。そこから深い意味での存在意識・人類愛・他者への思いやりなどがわき出てくる。『不完璧な世界』で、満たされない二人が出会い、互いに触れ合うことで『完璧な世界』を過ごす…という作品。 理不尽で悲しく、奪われるだけの幼少期を過ごしたブッチとフィリップ。 世界は彼らにとって『アンパーフェクトワールド』でした。 しかし、彼らが出会い、二人で共に旅した世界と期間だけは間違いなく『パーフェクトワールド』だった。 人生は決して華美なものではなく、驚くような奇想天外な結末もない。ただ流れのままに終わってしまう。 優しくて哀しくて非常で温かくて、そんな人間の姿と世界の本質 その数秒、ささやかな一コマ一コマが愛しい。互いに安らぎに飢えて孤独だった脱獄囚と少年の間に流れた、暖かいドラマに、とめどなく涙が溢れ出る 。
ケビン・コスナー演じるブッチは脱獄囚だけれど凶悪犯というイメージはなく、男の渋みとカッコ良さがそれとなくにじみ出ています。
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