月神さんのブログ(155)
月神(35)
和歌山・不思議系

レナードの朝

20/5/4 05:12
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内気で人付き合いが苦手な医師セイヤーに故ロビン・ウィリアムス。
不治の病に冒された患者レナードにロバート・デ・ニーロ様。
水と火のように対照的な二人の演技が稀有の名作を作り上げた。
1920年代に流行した嗜眠性脳炎に罹り30年間半昏睡状態のレナードは、意識はあるが話すことも身動きもできない。
そのセイヤーがレナードに試験的な新薬を投与し、機能回復を試みる。
内気で人間関係が苦手な新任医師のセイヤーにとって唯一の拠り所は看護婦のエレノア(ジュリー・カブナー)だ。そしてレナードは奇跡的な Awakenings ーー目覚めーーの朝を迎える。
ある日、レナードは父親の看病に来ていたポーラ(ペネロープ・アン・ミラー)に恋をする。
彼女への思いが徐々にレナードの自我の目覚めを呼び起こし、ついに一人で外出をしたいと医師団に申し出るが、病状の悪化を恐れた医師たちはそれを拒否する。
レナードは反抗心を抱き、それをきっかけにレナードの病状は悪化の一途を辿っていく。
セイヤーは罪悪感に苛まれるが、エレノアに励まされて患者達とのふれあいを思い出し、人々との関わり合いの大切さに気付く。

患者を演じたデ・ニーロ様の演技の凄まじさは狂気に近いものがある。
難病の恐ろしさがデ・ニーロ様の迫真の演技で生々しく伝わってきて、その凄さは身震いがするほどだ。
彼以外に誰がこのような演技ができるだろう。
なかでも、病状が悪化し再び麻痺状態に戻りつつあるレナードが惨めな姿を見せまいとポーラに別れを告げるシーン。
それでもポーラはレナードの手を強く離さず、ダンスを一緒に踊る。
涙を抑えられない場面だ。
デ・ニーロ様の火のような熱演に対し、故ロビン・ウィリアムスの医師は誠実と慈愛に充ちている。
その優しい温もりは、映画を見終えた後もずっと長く心に残る。素晴らしいとしか言いようがない。

この映画の原題ーーAwakeningsーー「目覚め」は30年もの間半昏睡状態だった患者に訪れた「目覚め」であるのと同時に、人付き合いの苦手な医師が患者たちとの関わり合いを通して人間の尊厳と愛に気付く「目覚め」でもあるのだ。
(c)gran-tv.jp