月神さんのブログ(155)
月神(35)
和歌山・不思議系

ハンニバル

20/5/26 08:16
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この作品は、レクター博士を、ただの猟奇的な犯人ととるか、ダークヒーローととるかで、評価がわかれると思う。

私にとっては、ハンニバル・レクターこと、〝ハンニバル・ザ・カニバル〟は、ダークヒーローなのだ。

この作品では、クラリス・スターリングも、しっかりと、ヒーローへと成長している。

十年の月日は、頭はいいが、実力は伴わない、半分学生だったクラリスを、たくましい捜査官へと成長させた。

絶対的正義。

そのためなら、身を挺して、悪の前に立ち塞がる。

そんなヒーローへと変貌している。

オープニングのギャング団との銃撃戦は、圧巻。

しかし、彼女の強さが彼女を悩ませる。

人殺し。

その事実が彼女を苦しめる。

ヒーロー、レクター博士は、彼女を追い落とそうとする、正義の面をかぶった悪を、次々に、残酷無惨に仕留める。

詩的な言葉で愛をささやき、同じ顔、同じ声で、人の内臓をえぐりだす。

美しい話だ。

オペラの響きとともに、残酷な、悪対悪の食いあいが描かれる。

私は、この作品が、もっとも脂ののったヒーロー、〝レクター博士〟の、活躍を描いた物語だと思っている。

羊たちの沈黙の正統な続編でありながら、まったく違う楽しみを与えてくれる。

素晴らしい。

この役はアンソニ-・ホプキンス様以外はいない。
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