月神さんのブログ(155)
月神(35)
和歌山・不思議系

コラテラル

20/9/21 10:34
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あの天下のトム・クルーズが白髪混じりの髪型で冷酷非情な殺し屋を演じると、当時話題になった。
これがなかなかイケてた。
目にも止まらぬ早撃ちのシーンはやはりかっこよかった。
彼の口から出る台詞(殺人を正当化するもの)は、詭弁すれすれで残酷なものなのに、恐ろしく的を得ていて、妙に感心してしまった。
何よりストーリーがいい。
殺し屋とタクシードライバーの一夜の物語。
眠らないロスの夜景の美しさ。

価値観も性格も似ても似つかない二人の男が、緊迫した時間と空間を共有するうちに、知らず知らずのうちに互いに影響されて変わっていく。
夢ばかり語って行動しなかった弱気な人情家のマックスは、危険も顧みずに女検事を救うために奔走することで、勇気と行動力を見せる男に変貌してゆく。
そしてヴィンセントは…彼はマックスの影響でどう変わったのだろう?マックスから「あんたは何て冷酷なんだ。いったいどんな育ち方をしたんだ」と言われて、一瞬沈黙した時のヴィンセントの目の表情が印象的だった。トムの押さえ気味の演技は本当にうまかった。
ラストは切なく哀しい。どこまでもクールでスタイリッシュ、非情さと哀愁が見事に融けあった作品だ。

マックスがゆっくりと車を停車、車の前をコヨーテが横切れるように。
その孤独な姿を二人は車内からじっと無言で見つめる。夜のこと、コヨーテの目は光っている。BGMが流れヴィンセントの目が後ろからマックスをじっと捉える。
あの物悲しくも少し驚きを見せる様なトムの真っ直ぐな瞳。
私の心にグッときた印象に残るシーン。
(c)gran-tv.jp