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和歌山・不思議系

トレイン・スポッティング

20/10/15 22:19
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これを書かずして、何が映画マニアだ!という程大好きであまりにも傑作過ぎる作品。

「親」の生活を見て、未来の自分に「絶望」する、「若者」、たち。
「生活」に追われ、「子=自分」を育て、挙句は「腐った体を晒すだけの老後」・・・
「出来損ないのガキ」=「自分」にすら疎まれる”豊かな人生”・・・。

”豊かな人生”など興味ない。
”理由”か?
”理由は無い、へロインだけがある”

考えてみれば、もっともな話である。死ぬほど人生を我慢した挙句の、「腐った体を晒すだけの老後」は、
誰の目の前にも転がっている当たり前の「現実」である。

彼らは逃げる、”腐った老後”から逃げる、”未来”から逃げる、
”自分自身”からも逃げて逃げて逃げまくる。(この逃げ方はハンパじゃなく、この一連の描写に、この作品
のほとんどの美意識とエネルギーが費やされてると言ってもいい。)

こんな非生産的な内容にもかかわらず、当時英国の若者に社会現象とも言えるブームを巻き起こしたらしい。
(ちなみに舞台はスコットランドで、言葉もその訛りが著しい)
よくこの作品を、「ドラッグからの更正を描いた、前向きな青春ドラマ」と勘違いしているおっさんがいるが、
彼らにはセンスと美意識が根本的に欠如しているので放っておこう。

私は、今、堅気になったレントンみたいなまっとうな生活を送っているが、この作品で得た「屈折したような輝き」
は失くしたくないと思う。
数少ない、私の「宝物」だ。
(c)gran-tv.jp