最後のどんでん返しが実に清々しく美しい作品。
“全てを欺いても手に入れたいもの、それは君”
なんと言っても主人公は彼!
私の一番好きな名俳優エドワード・ノートン様!
とにかくとにかくノートン様の演技が光ってる!
何かを企んでいる表情、彼女を見つめる切ない表情…
その演技に見入ってしまう。
謎めいた雰囲気を醸し出し怪演している。そして、彼のキャラが奇術師にぴったり、頼りなげで謎めいた秘密を持つ人物。
ヒロイン役のジェシカ・ビールも美しすぎ!
まだあるこの映画の公式サイトを見ると、スティーヴン・キングが2006: My Top 10 Moviesで絶賛しているが、それも納得の傑作。
気持ちよく騙され、キングが言うように「何度も観たくなる」作品だ。
マジックが物語の中核に据えられ、劇中の人物にはトリックと現実の境界があり、映画を観る者には実写とVFXの境界がある。
どちらも明確でない2つの境界が錯綜することで夢幻的な世界への扉が開かれる。
これは19世紀末ウィーンが舞台の夢幻の世界での身分差の恋物語。
同時に、エクスガリバーの聖剣に倣ったマジックで幻影師( Illusionist )が皇太子をたじろがせる場面から始まる幻影師と皇太子の対決は霊的な技を武器にした平民の王権への挑戦という色彩を帯びてすこぶる面白い。
何より本作が秀逸なのは、映画そのものがまぎれもなく幻影だと雄弁に語っていること。
撮影したカットの取捨選択とつなぎ方によって異なる物語が生まれる。
そういう編集のマジックに気づかせる脚本自体が文句なしに素晴しい。
押さえた色調で終始し、最後に一瞬空の青さを鮮明に見せるマジックも実に効果的。