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和歌山・不思議系

パブリック・エネミーズ

20/12/11 21:28
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映画公開当時、ジョニー・デップが格好良過ぎと言われた作品。
それまでの不気味系喜劇系ヒーローのイメージが強かったジョニー・デップが、初めてタフな格好いい役を演じた作品だったと思う。

彼の演じる1930年代実在の銀行強盗デリンジャーは人気が高く何度も映画化されてるが、この作品では恋人ビリー・フレシェット役にフランス人で、49年ぶりとなるアカデミー主演賞を受賞したマリオン・コティヤールを配し、マイケル・マン監督はそれまでのデリンジャーものとはかなり違った作品に仕上げている。

この作品のストーリー構成上の大きな要素になっているのは、1926年に作られた曲「bye bye blackbird」で、デップがマリオン・コティヤールとダンスするシーンで流れてるが、人気ジャズ歌手のdiana krallがステージ上で実際に歌ってる姿が映ってます(25分頃)。
「bye bye blackbird」という言葉は作品最後の部分でも使われるが、この作品に普通のギャング映画には無い文学的雰囲気を与えている。

ジョニー・デップのクールさにしびれるのはもちろんだが、クリスチャン・ベイルがFBIのフーヴァー長官に、もっとましなエージョントをよこせと泣きつくあたりは、やっぱりアメリカだなー、と思ってしまう。

経験不足の捜査員がやらかす、様々なヘマとベイル自身のミス・ジャッジの積み重ねと、デップ扮するデリンジャーの身軽さがうまく対比されて描かれている。

そして、名作「HEAT」のロス・ダウンタウンでの銃撃戦シーンに匹敵するロッジでの銃撃戦は、さすがに巨匠マイケル・マンである。ものすごい迫力だ。
そして、ラストのスローモーションが秀逸な出来で、慄然とする!

それぞれの人物が誰かのために戦っているように見えた。
また、戦う相手に敬意を持っているようにも見える。

ジョンは仲間のために、愛する女のために命をかけ、その仲間や女もジョンのために命をかける。

警察はシカゴ局長を始め、ジョンを追い詰めることに全力を注ぐ。
時に汚いやり方をしても、最後には敬意を払う。

だからこそジョンの最後の言葉はビリーに伝わった。

「バイバイ、ブラックバード」
(c)gran-tv.jp