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和歌山・不思議系

セブン

19/8/15 01:05
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ブラッド・ピットとモーガン・フリーマン様の豪華なダブル主演で話題になった、1995年公開のアメリカ映画。

タイトルの「セブン」とは、ローマ・カトリック教会で公認されている<7つの罪>のこと。

 その「七つの大罪」とは、

①GLUTTONY(大食)
②GREED(貪欲)
③SLOTH(怠惰)
④ENVY(嫉妬)
⑤WRATH(憤怒)
⑥PRIDE(傲慢)
⑦LUST(肉欲)

の以上。そしてこの「七つの大罪」を体現している人物を犯人は殺していく。
犯人は異常なシリアルキラーなのか。

そこかしこで過去の文学作品への言及があって、というかその文学作品が犯人の主要な殺人の動機となっていて、深い。
たとえば、ミルトンの『失楽園』、ダンテの『新曲』、チョーサーの『カンタベリー物語』、シェークスピアの『ヴェニスの商人』。
でもこの物語の<不在の中心>として物語を統御しているのは、ほかならぬドストエフスキーの『罪と罰』だと思われる。あるいはトマス・ハリスの『羊たちの沈黙』か。

先ほど「犯人は異常なシリアルキラーなのか」と書いたが、映画中のセリフにもあるように、犯人は「お金があり、教育もある」恵まれた高等遊民のような存在。また、私が見た印象では、まともで礼儀正しく知性も感じられる。だから上記で『罪と罰」を挙げたが、特別な人間は下等な人間を殺しても良い、という発想に至ったのではあるまいか。完全な明晰性を備えた異常者。

日曜日までで5人の人物が「七つの大罪」を犯しているという咎で殺害された。
 残る「大罪」は、ENVY(嫉妬)とWRATH(憤怒)

 最後の場面で、ブラッド・ピットは妻が殺されたことを知る。
 そのためWRATH(憤怒)に駆られて犯人を殺してしまう。
 ちなみに、犯人は普通の市井で生きる普通の人々のことをENVY(嫉妬)していたのだが、その象徴的対象がブラッド・ピットだった。つまり、ブラッド・ビットが犯人を殺ることで、逆から言うと犯人は殺されることで、「七つの大罪殺人事件」は完成したのでした。驚愕。
年に何度か不思議と観てしまう魅力的な作品だ。
(c)gran-tv.jp