いやガンダルフのかっこいいことといったら。御年六十を越えるイアン・マッケラン、精霊らしい風貌に迫力が加わって、颯爽としている。一方アラゴルンはとても人間くさくて，汗と剣の重みが伝わってくるような存在感。豊富に用いられているＣＧが、「指輪物語」の世界を｢現出させること」つまり作品のリアリティに奉仕している点に，圧倒されます。どのシーンにも、そこに生きている存在があると感じられる。
それは、ファンタジーのもつ、奥深い力、大人の心の奥底に生き生きと生きている「心のドラマ」が発揮されているからだろう。
フロドやセオデン王の迷いには、単なる｢ヒーロー」の枠組みを超えて、「迷い，成長できる｣人の可能性、を感じる。
また、ともに戦うハルディアの「死」の場面の驚愕の表情に心打たれたし、サムの秘められた力に勇気付けられる。
今回主要な登場人物としてスメアゴルがクローズアップされるが、彼の二面性には，現実の私たちの心の葛藤も反映されているようだ。
お気に入りのキャラクターは「エント」彼らが動き出す場面は忘れられないし、メリ―、ピピンの活躍に，胸がすく思いだった。
ニュージーランドの自然の広大さとともに、第一部の迫力ががさらに増幅されて、心の奥底がゆさぶられた。