月神さんのブログ(155)
月神(35)
和歌山・不思議系

トランス

21/6/3 18:47
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「トレインスポッティング」の鬼才ダニー・ボイル監督作品。イギリス人らしいと言ってもいい様な、ない様なある話、ある様なない話を得意とする監督の、ある意味で行き着いた話に思える。

ヴァン・サン・カッセル様の暴力と気品がなければ成り立たない作品にも思え、彼が脚本の段階で頭にあって書いたのではないかと思える位光っている。

「人は自分にも嘘をつく、それが忘れるという行為」とは上手く言ったセリフ。その言葉を幹に枝を伸ばし葉を広げて行くこの作品。どこへ伸びようとしているのか皆目見当が着かない。「常に人の先を読め」とのセリフが紐解きを楽にする。
原点の「忘れたい事」人は忘れられればどれ程楽になるだろう、また忘れない様に秘密を持ち続けて送る人生もいいだろう。この二つの揺れる心理の理想郷を上手く映画に換えている。換え過ぎて解らなくなるのも推理小説、強盗物語のあるあるかも知れない。
絵画を盗むという古典的モチーフが、盗む=持ち去ると進めて私たちの予想も持ち去られる。私も主人公の様に時々膝から崩れ落ちそうになる。それも忘れ去る事が出来たら、、、そう考える弱気な人にはセラピストが必要。行くも行かないも貴方次第。
現代社会も皮肉ってくれる、ブリティッシュテイストいっぱいなこの作品。マカヴォイたん観たさに購入したが見事に騙された。

マカヴォイたんの色々な表情を観る事が出来る作品。
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