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宮城・人妻系

官能小説 負けるもんか(2)

21/10/10 08:21
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近くまで来てるのよ泊めてくれる
いきなりで悪いけど帰れないの
ねぇいいでしょコインがないわ
詳しく話すから着替えでも探してて
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「悪いけど泊めてくれる?10分もあれば着くから」

はっ?何言ってんだこいつ。自分勝手な所は昔とまったく変わってない。
「何言ってんだよ。無理に決まっ・・・」
・・・切れた。案の定かけても繋がらない。
やられた・・・

瑠莉とは大学のテニスサークルで知り合った。
と言っても、瑠璃の姿を見かけるのは飲み会の時だけで、活動しているのは見たことがない。飲み会要員なんだろうか、そう思わせるほどに彼女は華やかで綺麗だった。
涼しげな目元と長い髪、抜けるような白い肌が印象的で、高校で一緒にテニスをやっていた僕の同級生達は、男女とももれなく日に焼けていた。
それが当たり前だった僕にとって、同じ歳の彼女のビジュアルは、ある意味衝撃的だった。

入学して三ヶ月程経ったある日。
夏日目前の暑い日に、恒例の飲み会がビアガーデンで行われた。
場所柄、皆自由自在に動き回り、ただのプライベートな飲み会のようだ。
僕はジョッキ片手にボーッと眺めていた。

「ねえ、カイトってどういう字書くの?」
突然瑠莉が話しかけてきた。
鳩が豆鉄砲をくらったような僕を見てクスリと笑うと
「キミの名前。カイトって言うんでしょ」
ああ、名前の漢字か。
「海に十に点々」
「ウミニジュウニテンテン?何それ。何かの呪文?」
「違うよ。普通の海と、漢数字の十の左上に点を2つ付けると斗って読むだろ。それで海斗」
「十にてん・・・ああ!海斗」
心底納得したように笑う瑠莉を見たその瞬間・・・

僕は恋に落ちた。
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