東京。
この街で今日も忙しさに呑まれている。
働けどもがけど何もない。
そんな日々に不安と不満を感じる30代会社員。
どこにでもいるような人間だと思う。
みんなどこか満たされない思いを抱えながら生きているんだろうから。
でも、気付けば周りは結婚をし、
彼女すらいない俺は仲間の中では少数派になっていた。
結婚は正直あまり実感が湧かない。
だけどこんな寂しい生活を慰め合うことのできる彼女ぐらいなら…。
そう思っていた時、同僚に紹介されたのが『Lumi』だ。
いわゆる出会い系ってヤツ。
そんなとこで彼女なんて出会えるの?
疑う気持ちも大きかったが、サイトの謳い文句の
「運命的な恋をしよう」というよくありそうなコピーに、
それでもちょっとぐっときてしまったのも事実だった。
ちょっと覗いてみるだけならバチも当たるまい。
何事も経験だって言うし。
なんて自分に言い訳しつつ、俺は『Lumi』に登録した。
登録するや否や、
たくさんのメッセージが飛んでくるから驚く。
どこから俺のことを見てるのか。
可愛らしい文字が泳ぐメッセージたちの中に
気になったメッセージがあった。
リカという女性からのメッセージ。
何気なく目を通したその一通で
俺の日常は大きく変わっていくこととなった。