うならされる作品。
何の知識もなく見たので、最初は何これ?ただのセックス映画?
かと思った…
15歳のマイケルが恋に落ちる相手は21歳年上どこか謎めいたハンナ。
彼女に頼まれるまま本を朗読し、愛欲に溺れる日々。ところが彼女はある日突然姿を消してしまう…
そして8年後法学生としてある裁判を傍聴することになったマイケルがみたのはなんと被告席にいるハンナだった。
裁判が進むにつれ、彼女がひた隠しにしていた秘密を知ってしまったマイケル。
その秘密を明かせば、彼女を助けれられるのにそうできない苦悩、そのことを償うかのように服役中のハンナに朗読テープを送り続ける…
裁判で罪を問われるハンナが、ではあなただったらどうしましたか?
と裁判官に聞き返して、シーンとなるところはすごく印象的だった。ハンナは文字が読めないのだということを
マイケルはきっと伝えたかったと思う。ハンナのために。
けれども、ハンナはそれ以上に文字を読むことができないということを知られたくなかったから。
マイケルはハンナ自身の願いを尊重した。
自分の人生で大切にしているものは人それぞれなのだということと
それが愛する相手と異なるときに、相手の願いを尊重できるか?
そんなことをこの映画から問われている気がした。
過去に犯した罪への責任、償い、希望…そして現実。すごく濃い内容。
ケイト・ウインスレットの演技もよかったし、年をとってからのマイケルを演じるレイフ・ファインズも深みがあってよかった。そういう、ヨーロッパの暗部を考えると、この物語は重いテーマを抱えていると言えるだろう。
日本では、文盲の人は0.2%しか存在しないと言われている。
江戸時代でも、町中では、文盲の人はほとんどいなかったらしい。
私の周りでも、文盲の人は全く見かけない。
そのような、教育に恵まれた日本人の立場で、この映画を見ても、いまひとつアンナの行動は理解しにくいだろう。しかし、アンナにとって、文盲であることは、自分の出自を明らかにすることであり、それには耐えられなかったのである。
この作品は、単なる恋愛物語ではなく、奥に深いテーマを抱えた、悲恋物語なのである。