凄まじいまでの暴力描写から、室内アートまで、完璧なまでの映像で語りかけるまさに「芸術」に昇華している作品。
とはいえ、暴力描写は今のB級映画のほうがよほど酷かったりするのに、なぜゆえ、直接的な暴力描写は控えめなのに、この映画のほうが嫌悪感を覚えるのか。
それはキューブリックが人間の本質を見事に見抜いて、心理面でグサリとくる感覚を映像としているから。
だからこそ、「映像作家」としての力量がいかんなく発揮された傑作と呼んでよいだろう。
同じテーマの作品を手がけることはなく、しかも作品全てが傑作、というかつてないほどの天才映画監督、スタンリー・キューブリックの最高傑作の一つであることは間違いない。
2時間強があっという間の、まさに「トリップ」体験を味わえる。
ファッションやミルクバーは未だに斬新で驚かせられる。