【草薙電脳艶戯倶楽部】(629)
草薙(49)
ヒミツ・不明/その他

【電脳艶戯的読書案内】第二夜。

15/11/6 23:54
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秋深し、隣は何をする人ぞ。 なんて、リアルでは隣人を気にする余裕もないほど息詰まるような日々を送っております草薙ですどうも今晩は。
逃げられぬリアルの枷はしかしいずれも、それも得難い幸せということで。 しかし、そうは言ったものの草薙とて生身。全身義体の某公安9課少佐でさえ、脳殻の奥深くにある自らの感情は消し去ることが出来ぬように、妻であり母である前に、絶対的根源的本能的に「草薙」であるところの自らは偽れぬのだな、と実感する今日近頃、おそらく 10 年以上ぶりに書架から取り出してきたのがこの1冊。

堕落論 / 坂口安吾 / 角川文庫

時は二次大戦敗戦直後の日本。混迷極まる日本において、既存の価値観や倫理観を時に乱暴なまでに否定して、本来日本人が持つ楽観性、享楽性、多様性、何も無いところからいわゆる「萌え」をバンバン産出することが出来る、そんな国民性をズバリ示して、若者たちの絶大な支持を得たのがこの作品でした。 えと、草薙の説明、毎回ややこしいので(笑) 内容を抜粋致しますね。

「人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。 それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。」

ものすごく乱暴、かつ、ざっくりこれを現代風に解釈すれば、
一家の大黒柱とて、女子高生のスカートの中身が見たい。
妻であり母であっても、見ず知らずの男性と一緒に酒でも飲んでみたい。
教師であっても、教え子と恋に落ちてみたいし、 医者であっても、患者の乳房に恋してみたい。 まあ、そんな感じになると思います。 って、すみませんこれ、かなりざっくり過ぎますが(爆)
要は、いくら自らを律そうと名刺や役職に自分自身を嵌めようとしたところで、心の底からやりたいもんは止められるわけないからとことんやれ、ハマった先に見出す自らも必ずあろう、みたいなところでしょうか。
ただここで気をつけたいのが、作者の安吾先生自身が、薬物びたりの躁鬱者の放蕩者、いろいろと無茶がたたって最後は脳溢血で 49 歳で急逝。と、まあ、そういうデカダーンな方であったということで。
穏やかに長生きしたいのであれば、堕落もほどほどに。と、むしろこれは自らに言い聞かせつつ本日のご案内はこれにて終了といたします。
ではではまた♪
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