23時12分。
母子手帳に記されている、13年前の出生時間。
消灯している長男の部屋に入り、
くるまった毛布から出ている、散髪したての短髪をなでた。
案の定、起きていたらしい。
もぞもぞと動き、毛布から半分顔を出す。
耳に差し込まれたイヤホンと枕元のモバイルはこの時間、平素なら取り締まり対象だが今宵は、良しとしよう。
「お誕生日、おめでとう。」
そういうと、ふわぁっと表情が崩れた。
ニキビ面にほおずりすると、にへへ、と笑う。
背中をなでながら、「今度こそ、おやすみ。」というと素直にイヤホンをはずし、「寝る。」と言ったその数分後、熟睡していた。
長男、13歳の誕生日。
生まれた時間帯について話してから、何となく気になっていたのか。
起きていたい気持ち、眠い気持ちが裏腹な様相だったので、
「もし、起きていたら生まれた時間になったらもう一回、おめでとうって言いにいくよ。」
そう、提案したところ果たして、うとうとと起きていた模様。
大晦日に、年越しまで起きているのを許されたのはいくつの時だったか。
そんな自分史における特別な「夜更かし」をふと、思う。
23時12分が、深夜でなくなる。
いつかそんな夜が来ても、今夜のこと。
覚えていてくれたら、嬉しいな。
では、また。