切れ長の眼に、細身のチャイナドレスが素晴らしく似合う女殺し屋・シェンホアは数日前から、付け狙う何者かの気配を感じていた。
ついにその夜、
彼女の前に現れたのは、超重量級のチャイナドレス。
英語も、そして中国語も何故かカタコトしか話せないその唇からシェンホアが聴き取れたのは、「殺」「恨」のただ、二文字。
命のやり取りが、稼業。
その二文字だけで、戦う理由は充分。
よって体型正反対の、ふたりの佳人の戦闘開始。
クライム/バイオレンスアクション漫画「BLACK LAGOON」のスピンオフ作品の中の一篇「Enter the Fat Dragon」。
近頃、1日1度は読み返すぐらいのお気に入り。
両脚から爪先が不自然に円錐形だったり、両腕が戦況に応じてドリル化したり、その体型にも関わらず、シェンホアを凌駕する反応速度で、極限まで追い詰めたり。
様々な特徴から想像するに、シェンホアへの深い怨恨がゆえに何らかの方法で、マッドサイエンティストな誰かに、自らの身体の魔改造を依頼したのかもと推測。
コトバがひどいカタコトなのも、一見、脂肪の割合が多く見えるその身も、もしかして身体能力を極限まで人為的に改造したゆえの、副作用的なものなのかも…?
大切な愛を奪われたゆえの、「殺」「恨」。
その二文字ゆえに、止む無く「Fat Dragon」と成った彼女。
なんて、描き手の表現の妙も相まってつい、外伝にあれこれ勝手に、想いを馳せてしまう。
折しも、今年はちょうど、辰年。
「殺」も「恨」もないけれども、ここらでひとつ久々に、自らを魔改造してみるのもいいかも…なんてね。
ちなみに、正月太りはしておりません。
念のため。
では、また。