人生初の婚外恋愛のお相手は、とあるサイトで出会った一回りも歳上のとってもエロくてとってもお金持ちな経営者だった。
待ち合わせの場所では、すでに到着している彼が私を待っている。車の写真は何枚か見せてもらったことがあったので、だいたいの見当はつく。
駐車場に着くと、異色のオーラを放ちながらこちらを向いて停まっている、一台のピカピカの高級車が目に飛び込んできた。
あれだ...
ドキドキしながら近づいて行って、痛いほどに刺さる視線を感じながら、真横に駐車する。緊張で体が固まる。
お互いまだ車の中なのに、高級車が左ハンドルなせいで距離が近い。その至近距離から途切れることなく、顔の右側に穴が開きそうなほどの強い視線を感じている...
死ぬほどドキドキしている。でもいつまでも固まっているわけにはいかないし、とりあえず窓を開ける。
正直、そこからしばらくの間の記憶が無い…。
とにかく「どうしよう、緊張する...」と、エンドレスリピートしながらまともに顔も見ることができない私に、優しく微笑みかけながら「大丈夫?その辺でコーヒーでも飲みながらお話して、今日は帰ろうか。」と言ってくれたのが嬉しかった事を覚えている。
「とりあえず、こっちに乗る?」
言われるがまま、ピカピカの高級車にお邪魔する。
相変わらず視線が痛い。
「そんなに見ないで…」
「いや、見る。」
「見過ぎだよ…」
「ナナ、すごく素敵だよ。」
そしてキス。
心臓はバクバク。緊張し過ぎて吐きそうになる。
「大丈夫?少しは落ち着いた?」
いえ、全然ダメです。このままでは気を失うのではと不安になる程の緊張感と恐怖に耐えられず、水を買いに一人でコンビニへ逃げる。
戻ると今度は外で待っていた彼が、相変わらずじっと見つめてくる。
「とりあえず、どこかに入ってみる?」
「...」
「ナナが嫌なら、ただお話するだけでもいいし。」
「それでもいいの?」
「うん、僕はいいよ。」
いつまでもこんな所で固まっていても迷惑以外の何者でもない。せっかく来てくれたのに… そう考えると余計に焦る。