パートを始めてから初めてバス通勤を経験している。普段は座ってゆったり職場に行けるのに、雨や電車が止まるととてつもなく混雑する。
今日は車両故障で全く動いていないし雨も降って最悪な朝の始まり。なんとか乗車は出来たけど人人人。押し付けられて吊り革を両手で握りしめてなんとか耐える。
隣のおじさんの濡れた傘や学生さんのリュックがぐりぐりと身体に押し付けられて気持ち悪い。しかもおじさんの傘の当たる場所が胸の真横で車体が揺れる度Tシャツが濡れていき、運悪く傘を閉じるボタンが乳首にグリグリ当たってしまっていた。
(どうしよう…恥ずかしい…気持ち良くなっちゃう…)
誰もが悪くない。痴漢しようと思ってしてるはずもない。本当にただ人が多くてたまたま当たってるだけなのに、感じるのもはずかしい。でも感覚に火がついてしまいブレーキの度につい押しつけてしまう。
(誰かにわざとしてるって気づかれたらどうしよう…でも、擦れるの気持ちい…はぁ…下も…触りたい…///)
終点の駅に到着するまでジリジリと絶妙な刺激は止まらず、中途半端な熱に仕事に行くのがもっと億劫になってしまった。
「あの、すみません」
「え?はい?」
ステップを降りて数メートル歩くとスーツを着たお兄さんに声をかけられ、ふいにスマホの画面を向けられた。
「気持ちよかったです?」
「?……!!?」
スマホの中には欲に忠実な自分の顔と、欲を強かに狙う狼の群れの姿が。
【あとがき】
痴漢は犯罪です。痴漢ダメ絶対。
妄想では最高に高まるけど、ほんまもんはただ気持ち悪いだけ。最悪。エロはファンタジー。フィクションやプレイだけで楽しみましょう。