出会ってから、16年。
折りに触れて読み返し、愛好してきたマンガ
「ヨコハマ買い出し紀行」。
隆盛を極めていたヒトの世が少しずつ終焉へと向かいつつある『夕凪の時代』、喫茶店「カフェ・アルファ」でオーナーの帰りを待ちながら過ごす「ロボット」のアルファさんと、その周りの人々を穏やかに優しく、描いた物語。
詳細な設定について、あえて多くを語らない事から生じる居心地の良さ、夕凪の世の、自然に却っていく風景の美しさ「だけ」を感じながら、出会ってから16年間、時折取り出してはながめて満足してきたのですが。
ここ最近の世相のせいか、それとも自身の経年のせいか。
17年目にしてこの作品の、現実味を帯びつつある世界観に、今までにない強い感興を覚えました。
10年も前に書かれた考察サイトや、掲示板の議論のあとなどを読み漁るうちに、小説版の存在も知りました。
絶版につき、定価の7倍近くの値段で入手。
「のんびりほのぼのサイバーパンク」な雰囲気のマンガを経て、小説版では一変、マンガ終了以降の「人の夜」の世界を生きるロボットたちを描く「まったりディストピア」へ。
画集も出版されていて、こちらには作者の芦奈野さんが、世界観設定について明言しているページがあるとのこと。
手にしたいとは思いつつ、万単位のプレミアがついてしまっていてさすがに、足踏み中です。
自分が出来ること、やりたいこと、
過ごしたい時間と人々との、
有限なる日々を大切にしながら、
まだおそらく、夕凪にはほんの少し早い
「喧騒の時代」の今を、生きていこう。
そう思います。
では、また。