【草薙電脳艶戯倶楽部】(629)
草薙(49)
ヒミツ・不明/その他

【Autumn.'22】

22/10/18 00:27
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「寂しい秋になりましたね。」

そんな言葉で始まった、実家母からのLINE。

先般、老衰に倒れた96歳祖母の介護を契機に、
自営業の母が少々遅い、仕事引退。
いざ介護生活に、となったらなんと、復活は不可能と宣告されていた祖母がまさかの、順調に日常復帰中。

一時は自分で身を起こす事もままならなかったのに、最新情報では助力を必要としながらも自ら、トイレに行くようになったとの事。
一大決心をした母にしてみたら安堵反面、かなり複雑な想いではあるとは推測。
しばらくは遠隔的に、何くれと無く傾聴をば。
メモメモ。

さて。

万葉歌人も平安歌人もまた、
ここ電脳遊里に於いても、
真偽のほどはさておき、男女ともおそらく、
お約束の口上。「さみしいきもち」。
研究員草薙、母のガラにもないLINEを契機にその「秋特有の寂しさ」につきまして、
調査及び分析してみる事に致しました。

① 日照時間減少による、セロトニンの圧倒的不足
② 気温の低下
③ 視覚受信からの、イメージング問題。
紅葉→枯葉色=終焉。

セロトニンは、一時しのぎとはいえ手っ取り早く、しかるべき栄養素を摂取すれば分泌できます。
気温の低下は、被服で補えます。

もしかして、最大の難敵はそう。
誰しも避けられぬ「終焉」の予感なの。かも。

・・・と、ここまで書いてきて、気付きました。

「終焉」を悲しく思う、もの寂しく感じる。
それはまだ、「終わりたくない!」という、
生きて、何か爪痕を残したいそんな、
声にならない「生欲」なのかも知れない。と。

奇跡の復活を遂げようとしている祖母、
しかしその、不肖の孫はかように「さみしげに見える年増の人妻」の研究などにもいそいそ、勤しんだりなどしております。

「終わりたくない」のではありません。
「終わったら、なんだかつまんない。」
そんな、相も変わらぬ艶戯。

冷や水のつめたさ、
やれやれ、何時まで続くことやら。

では、また。
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