【草薙電脳艶戯倶楽部】(630)
草薙(49)
ヒミツ・不明/その他

【whisper】

21/12/4 22:35
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心地良いけだるさと、朝陽のまぶしさで目覚めるなんて実に、何年ぶりだろう。

一瞬、常ならぬまぶしさに「寝過ごした!」と飛び起きて焦りつつ、周囲に目を走らせた。

「寝過ごす」という概念の無いここが確かに、
日常ではないという事を視覚的に再確認してから、安堵の深いため息とともに再度、毛布の中へ。

しかし、気品と格調高さとを精一杯装った、見慣れぬ天井をながめているうちに目はどんどん冴えて。
気付けば、着衣していた。

いつもバッグに携帯しているレターセットを取り出して、愛用のペンで、短い手紙を書く。
結びに「ありがとう。」等の謝辞を添えるのは、人生における常套であり、必須だ。

そこに「心が無い」のではない。
古来から続く礼儀や儀礼は、脆く儚き人間関係を補強し円滑にするいわば、しつけ糸のようなもの。

そこまで書くと、そんなふうに書いてしまったら・・・・
あまりにもそっけない上に、少々「遊びが足りない」だろうか?

濃密な遊びには、けじめが肝要。
貪り続ける快楽の後に必ず来る、飽和と惰性。
そんなつまらぬ、終幕にはさせない。

そう。例えばここに、命のある限り・・・。




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久々の連載小説も、物語を半ば過ぎて。

本当は一気呵成に書き上げてしまいたかったのですがふと、「ハル」ではなく、最近とんと出番のない「草薙」に首根っこをつかまれまして。

そんなこんなの、中休みに一筆。

何だか、いつもより怨念多めの
(いよいよ更年期かい、太夫?笑)
「草薙」さんに一応、字数制限下で好き勝手に書いていただいたところで、さてはて。

次回からはいよいよ、物語も大詰め。
「ハル」には今まで以上に、自閉的に暴走していただきます。ニヤリ。


ではでは、また。
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