瑠莉に、いったい何故僕とセックスしたのか尋ねてみたことがある。
瑠莉の答えは至極明快だった。
「したかったから」
僕が言ったら通報されるレベルの発言だったけど、瑠莉が言うと何だか納得出来てしまうのは、何故だったんだろう・・・
―僕と瑠莉はすぐに別れた。―
いや、瑠莉にとってみれば別れたうちにも入らなかったろう。
瑠莉にとって僕はセフレだった。
それ以上でもそれ以下でもなかった。
僕が誘えば付いて来た。でもそれは僕以外の男に誘われた時でも同じだった。
僕の嫉妬心と猜疑心は、日に日に威力を増し、僕を押し潰していった。
「僕が壊れる」
僕はサークルを辞めた。
それ以来一度も瑠莉を見かけた事はない。国内でも有数のマンモス校だったから、一度も会わない同級生が居ても、不思議ではなかった。
そのまま僕たちは卒業した。
瑠莉からの連絡は、とうとう一度もなかった。
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危ないぜ危ないぜ
負けるもんか負けるもんか
無理でしょきっと泊めるわ
扉をそっと開けるわ
ぐらついたPassion
つけこんでMotion
勝てるもんか
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夜の闇に紛れるように、密やかな瑠莉の足音が聞こえてくる。
僕はスマホをミュートにし、そっとドアを開けた。