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宮城・人妻系

官能小説 負けるもんか(1)

21/10/9 21:00
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あの娘と間違えてあわててるの
待ち焦がれたよに聞こえてくる
もう真夜中しゃがれた声が
一度目のベルさえ鳴り終わってないのに
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「海斗ごめん。今日は勉強会だから電話遅くなるかも。しない方がいい?」

ああ、今日は定例の勉強会か。澪からのLINEを見ながら僕は思った。
澪は大学の同級生。卒業後は都内のインテリアメーカーで働いている。仕事は事務だけど商品知識は必要らしく、新製品が出るたびに説明会と勉強会があるらしい。

「いいよ。明日休みだから何時でも大丈夫だよ」と返信する。
平日が休みの澪と週末が休みの僕は、なかなか会えない。
そのため毎日電話で、1日の出来事を話し合う。付き合ってもう一年にもなるのに・・・
たまに「中学生か!」と自分に突っ込んでみるけれど、今の所この関係性は心地よい。
「ごめんね。無理しないで寝てていいから。出なければすぐに切るよ」と、気遣い人の澪らしい返事が返ってくる。


すぐ側で着信音が鳴っている。
反射的に枕元の時計を見る。12時を廻ったところか。
「もしも・・」
「海斗、私」言い終わらないうちに聞こえてくるのは、澪とは違うハスキーな声。
瑠莉だ。その途端ほのかなムスクと熟れた果実のような香り、そして吐き気がする程苦い記憶が甦り、一瞬のうちに僕を現実へと引き戻した。
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