こだま日記(67)
*流歌*(53)
岩手・不明/その他

二羽の燕

16/11/24 01:34
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朝、作業場に入ると、鳥の羽音がした。
雀でも入り込んだかな?と見回すと
梁に二羽の燕がとまっていた。
近付くと逃げるので、扉を開けたままにして
その場を離れた。



夕方、旦那様の初七日を終えたばかりの知人宅へ
友人と二人でお悔やみに行った。
お線香をあげ、遺影に手を合わせたあと
その場で色々な話をした。

昨年春に病気が発覚したこと
それからずっと入退院を繰り返したこと
発覚した時既に、かなり病気は進行していたこと
入退院の合間の、短い自宅での生活のこと
そして、最期の時を迎えた様子のこと


旦那様は、入院する前はもちろん、
壮絶な闘病生活の間もずっと、
周囲を気遣い、冗談を言って笑わせているような
方だったそうだ
お悔やみに行った私達だったけど
旦那様が主治医に普段の飲酒の量を訊かれ際、

『酒と女はニゴウまで。』

と答えた話に、大笑いさせてもらった。


そんな人だったから、息を引き取ったあと
治療に携わった医療関係者が次々と枕元を訪れ
最後の挨拶をしては涙を溢したそうだ。



火葬や葬儀にも、多くの参列者が訪れ
供物もたくさんあがったため
葬儀社のスタッフが

『本当に人徳のある人だったんですね』

と驚いたそうだが
これまでの夫婦生活は
なだらかな道のりばかりではなかったと思われる。

それでも、いよいよ・・・となった時
そばにいたい、そばにいて欲しいと
お互いに思いあい、口に出して言える関係が
築けていたのは、
本当にしあわせで貴重なことだと思った。



友人と別れ、家に戻る帰り道
ふと作業場にいた燕の事を思い出した。

あれからどうなったか確認しないでいたけれど

無事外に出られただろうか

冬を越す場所まで辿り着けるのだろうかと



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