ことの始まりは、いつものように一分一秒を争う『尿漏れ』を堪え、
命からがら、知らない地域の『コンビニ』へと駆け込んだあの日。
小便後には、買い出しを済ませ、私はイソイソ、チキトラに戻った。
融雪剤の『塩巻き』で、すっかり真っ白になっていた私のチキトラ。
車両の周りを、モサモサ歩き回っていると、
『トワック~、トワック~』
お婆ちゃんに連れられた、幼い女の子。
女の子は、ノビノビと『弾んだ声』を張り上げながら、
私を指差し、呼び掛けているように見えた。
そんな『お孫さん』に恐縮されてか、私と目が合い、お辞儀をされたお婆ちゃん。
こりゃ イカンっ!!
すぐさま、お辞儀を返しつつ、私は、おのずと『お二人』の元へ近付いて行き、
この機会に、地元の方との『交流』を深めたく思った。
『ねぇー、ねぇー、トワックちゅきっ?』
そう、女の子の前にしゃがみこむと、女の子はモジモジと頷き、
『お嬢ちゃんも、大きくなったら、トワック乗るぅ?』
今度は、ハニカミながらに頷いた。
『よし!! おっきくなったら、オバチャンと一緒に走ろっ? 約束!! ねー♪』
果たせるはずもない約束とわかっていながら、勝手、気ままに『小指』を立てた。
約束どころか、私はいずれ、トラックをおりる。
『指切りげんまん』を歌いながら、そんな現実に引き戻されて、
女の子が指切りで見せた、愛くるしく、眩い『笑顔』を目の前に、
一瞬にして 切なくなった。
女の子と絡めた小指の感触を思い出すと、今も時折、どこか切ない。