【草薙電脳艶戯倶楽部】(630)
草薙(49)
ヒミツ・不明/その他

【individual】

16/2/29 00:45
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「オッパイの型、取らせてくれない?」

13年前の12月。京都某所。
職場盟友のそのまた友人の美術講師からの申し出。
10年近く交際した彼と電撃破局、直後同じ美術講師の男性と交際開始。交際1週間で結婚を決め年明けには移住するという、彼女。

私はといえばその頃、大学時代から交際していた年下泉州男とグダグダ月2ペースで逢いながらその実、職場の年上浪速男に心身ともにメロリンQになっており「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身も焦がれつつ」状態に陥っていた。
そんな私の状態を心配した盟友が気晴らしにでもなればと、酒席を設けてくれたのだ。

「愛情と恋情は別物。恋情では、家庭という安定基盤は築けない。だから一時の激情から構成されるような恋情を抱いた場合、なるべく穏便にやり過ごしたい。」

そう発言した私に美術講師・M女史は真向から反論。

「そもそも恋情だの愛情だのと情をカテゴライズするのが間違っている。好きならくっつく。違うと思ったら即離れる。それだけのことじゃないのか。」と。

その後明け方まで私とM女史の懇談は続いた。何をそんなに話す事があったのかはまったく思い出せない。

そしてその数日後。冒頭の如き内容のメールが入電。
彼女は賃貸とはいえ住まい兼作業場を有していた。そこで、草薙さん27歳のしかもあろうことか胸部の型を取りたいというのだ。
何で私?と問うと「草薙さんが気に入ったから。」と要領を得ない返答。

結局、盟友を立会人として「草薙さん27歳のオッパイの型を取る」という愚劣にして無謀極まりない計画は実行に移された。

当日何をどういうふうに作業が進行したかについては省略。
ともあれ草薙さん27歳はまんまと婚約中の美術講師に胸部の型を取られ、あまつさえ彼女の手により、それは石膏作品として彼女のマイホムペの1ページを飾る事となった。

M女史は撮影風景のアルバムとともにその石膏像を移住前に私にくれた。
アルバムを見ないまでも、その出来事は思い出す。
バカだったけれど、楽しかったよなあ。と。

ちなみに問題の石膏像ですが残念ながら作業から3年後、ひょんな事から恋した男に、ひょんなことから譲渡してしまいました。

嗚呼残念至極。格好のアダルトサイトネタだったのになあ。なんてね。

では、また。
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