薄く雪化粧の朝。
兄の手袋をする、といって聞かない次男。
2歳半。だが、年齢を問うと「ごさいなんだよ。」と言い張る。何がどうでも、兄と対等かそれ以上で無いと納得しないのだ。
「じばにゃんのてぶくろ、ぼくのなんだよ?ね?」
「ね?じゃないよ!それ、おれのだよっ!」
不毛ないさかいが続く。迫る登園リミット。どうでもいいがとっとと貴様らを園内に放り込んで私は出勤前にスタバりたい。
「あー。じゃあさ、お兄ちゃんがこっちにすれば?元々これも、お兄ちゃんのだし。」
と、かつては兄、そして今では弟専用になった小さなミトンを手渡す。
えーやだ、と言いながらも、小さなミトンをはめてみる。
ん?
意外と伸縮性があるせいか、兄の手にもうまくはまった。
はまったよ!と笑顔の兄。
5歳では無く、2歳半の顔になった。
愛しくなり、2歳半の兄を抱き締めた。
いろいろな試練があった。けれど、ようやくここまできた。
登園後。こころみに、ミトンを40歳の手にはめてみる。
さすがに、もう入らない。
でも、良いのだ。
2歳半のわたしも、5歳のワタシも、
いつだって今現在の私とともに、あるのだから。
では、また。