首都高1号線。
蒼い独逸の恋人を駆る。
左車線を後方から追従するは、紅のランサーエボリューション。
三菱のエンブレムは車体に付いていようが鉛筆に付いていようか実に、クールだと思うが如何。
左側の運転席から素早く、目配せ。
ドライバーの顔にフレームが無い事だけは確認。眼鏡男子は私の左脳をほぼ例外無く狂わせる。ただでさえ、危険な賭け。来世で胡蝶になれる可能性はあれども命は惜しい。
横につけた、紅。
接触ギリギリのイメージで、蒼い彼女がにじり寄る。
こういう時にも、左ハンドルは有効だ。
右ハンドルのドライバーの呼吸が良く解る。
アクセルを少し踏み前に出る。
紅も同様に。
一瞬、刻が止まった。紅と蒼の競演。
しかし、程無くしてナビは鈴ヶ森到達を告げる。
予め解っていた、終幕。だから、寂しくも哀しくも無い。むしろ、刹那の波長の一致が心地好い。一夜の恋の過ちよりも、久遠の愛の誓いよりも、爽やかに艶やかに私を満たす。
分岐点。
紅の運転席の主が少し、微笑んだ気がした。
蒼と紅の両車体、エンブレムとともにあるは「baby in this car」のステッカー。
これが御役御免になったその時にまた、こうして出逢えたら、嬉しいね。
では、また。