【草薙電脳艶戯倶楽部】(630)
草薙(49)
ヒミツ・不明/その他

【color】

16/2/13 08:23
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夢を見た。

どこぞの縁側で桜色の座布団に座り、恋人の頭を撫でていた。
私は、和洋中折衷の珍妙な服を着ていた。あたたかい風に、襞の細かい空色のスカートの裾が揺れていた。スカートなぞ年に1,2度しか着用しないため、ああ、間違い無く夢の中だな、と思った。

薄茶色の縁側と、桜色の座布団と、空色のスカートのコントラスト。

「猫の視覚は青や緑が赤よりも鮮明に見えるのです。なぜなら猫の眼には赤に対して反応する錐状体の数が、少ないか存在しないからです。」
恋人が吟うように滔々と言葉を発する。
じゃあ、私のスカートは空色だからきっと、鮮やかにうつるでしょうね。
と、ひじょうに手前勝手な発言をやらかしたところで、目が覚めた。

起き抜けにアプリ「ねこあつめ」を起動したら、私が不在のあいだに、桜座布団で眠っていった猫が1匹、いたようであった。

縁側の桜座布団にひとり、うずくまる。
私のあたたかさ。猫のあたたかさ。
私の見ている色。あなたの見ている色。
同じくする嬉しさ。違いを知る悦び。


帰省三日目の朝です。
おはようございます。
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