【草薙電脳艶戯倶楽部】(630)
草薙(49)
ヒミツ・不明/その他

「独逸の恋人」

16/1/29 22:26
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雨天。
刻来たる。

視姦していたディーン・フジオカ眼鏡男子ver.の画像をモバイルごと助手席の鞄に投げ入れ、着火準備。
挿入にはコツが要る。やみくもに突っ込むだけでは拒否される。
正確な角度と位置に挿れて、ゆっくりと捩る。
重々しい起動音と振動。
ゆっくりとアクセルを踏み込む私。
動き出す、貴女。

10年以上も前に海を渡るも、約10年間野ざらし同然の憂き目にあい、奇妙な縁から夫の元に身を寄せた、彼女。
左ハンドルの、独逸の恋人。
某自動車学校開校以来の劣等生、とかつて酷評された自分が、彼女と行動をともにするようになり早や数年。

蒼のマイカラー。
電機系統に難あり。
しかし装甲は頑丈。
ひじょうにわかりにくいが実に、官能的かつ力強い加速。
女に乗るよりクルマに乗りたい。そんな気持ちが、彼女を運転するとよくわかる。
自分からは何も求めない。だが、メンテさえ怠らなければ最高の快楽を約束してくれる、鋼の女。

園に着く。坊主どもを後部座席にくくりつけ、帰路につく。
パパも運転うまいけど、ママもじょうずだよね。そう言った長男にひとこと。

あのね。うちのBさん、実はパパより、ママのほうが好きなんだってさ。

夫の愛人は、妻の恋人。

そんな、密やかな家庭事情を乗せて、彼女は今日も、走り続ける。
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