「想像して。絶対、身体は触っちゃいけない」
そう言われて、目を閉じて、聞こえてくる声に全神経を集中して。
ドキドキして、息が荒くなってく。
言葉でのみ触れられる身体の部分部分が、どんどんと熱くなってく。
決して甘い言葉ではなく、どちらかと言えば、キツイくらいの命令口調に、どんどん堕ちていく。
「触っちゃいけない」
「感じろ」
それが逆に、あたしを酔わせ狂わせる。
「逝け」
たった二文字の短い単語で、触れることなくあたしは果てる。
言葉だけであたしを操ったアノヒトは…
どんどんあたしのスイッチを入れていった。
触れてないのに。 触れられてもいないのに。
あたしを狂わせた。
あれから○年。
アノヒトは今、この世界にはいない。