【草薙電脳艶戯倶楽部】(629)
草薙(49)
ヒミツ・不明/その他

月と蜜柑。

15/11/28 09:21
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昨日、18時前後。
場所は、埼玉某所の自転車置き場にて。

「みて!おつきさますごいよ!
「おっちゅきさま!しゅごい!!」

坊主どもが口々に騒ぐ。
頼むから三人乗り自転車の上で暴れるのは止してくれ。
あーもーハイハイ、と見上げて思わず「わっ。」と声が出た。
オレンジ色の、丸くて大きい月。スーパームーンよりも凄い存在感、異様感。
どちらかというと繊細な長男は「なんかちょっとこわいー」と身をすくめ、どちらかというと豪胆な次男はひたすらママみてみて!を繰り返している。

「こわくないよー。今日はあったかい日だったから、おつきさまも顔があったかい色してるだけだよ。
なんかさ、ほら、ミカン!ミカンみたいじゃない?ヘタつけたらさ。」

「ホントだ!ミカンだ!こないだ、みえのババとこで食べたやつみたいだー!」
「みっ、みたん、みたんだー!」

再び大騒ぎの坊主どもを自転車から降ろし、3人でマンションのエレベーターを目指す。
自宅のある階からながめると、橙色の大きな月がより、ミカンらしく見えた。
「あんなおおきいミカンだとひとりでは食べきれないよね。
今晩、あのミカンがおうちに落ちてきたらひとりじゃなくて、みんなでわけて食べようね。
できるかな?」
おもちゃの取り合い、おやつの取り合い、張り合いばかりの坊主どもだけれどこの時ばかりは「はーい!」と最高のハーモニー。

我々3人はその後、巨大ミカンをネタに眠るまでの数時間を過ごした。

男児×2との毎日はどれだけ穏やかに過ごしたいと願い、努力をしても、喧騒と号泣と怒号からはけして逃れられない。
だからこそたまの、おおきなミカンが嬉しいね。と思う母・草薙でした。

ではではまた。
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