ここだけのはなし。(40)
ちわ(49)
ヒミツ・不明/その他

彼の目線、彼への視線。

15/4/29 00:59
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たまには、真面目なお話を。

もう10年くらい前のこと・・

いつも見慣れていて
彼の車椅子姿は私には自然なものだったし
子供達にはもっと普通のことで

友達の一人はたまたま車椅子が必要なだけなんだよ

と、理屈ではない理解をしていた。

そんな当たり前の彼の車椅子を
私はその日、初めて押して歩き

そこで気がついた。

彼に向けられる 沢山の視線・・・

好奇
同情
興味

・・・目は口ほどに物を言う

中には声に出して
可哀想に と言う人もいる

悪気はないんだろう
涙ぐみ、声をかけてくるお年寄りもいた

私が気づいたのだから
彼に気づかないはずは ない

悔しかった
もどかしくて 切なかった
いい大人のくせに泣けてしまった

そんな私に気づいたのか
彼は車椅子から振り向き

『スゴイッしょ?
オレ、人気者だからさ!!』

と笑って言った。


彼へ向けられる視線は
痛く刺さるものが殆どなのに

彼の目線は、それを飛び越えて
遠く優しく 強い世界に向いている。


私より20も年下で
息子と同じ『障害者』というカテゴリーに住む彼は
誰よりも強く、逞しい。

そんな彼を ありったけの愛情で包むご家族もまた
優しく、強く、美しい。

どんな立派な偉人よりも
どんな高学歴な天才よりも

私は彼と、そのご家族を尊敬している。

★・゜・。。・゜☆゜・。。・゜★

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