あんず小噺(59)
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ヒミツ・不明/その他

『見えない檻』

15/4/19 06:22
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人は誰しも生きていれば『しがらみ』と云う見えない檻の中にいる。
自ら望んで繋がりを持っていても、人間は感情と云う熱を持つ生き物だ。交われば多少なりとも摩擦は生じる。

その中にあって生きにくさを感じている人は多い。
近年誕生した心療内科は大繁盛しているし、通っている事を公言する人も増えた。
私個人は聞いたからと特別視も特別扱いも一切しない。
中にはそれを期待して言ってくる人も少なからず存在するのも事実だ。
何を以てして特別だと勘違いしてるのか意味不明だし、とめどなくウザいので距離を置くようにしている。
見えざる敵と戦っているのは自分だけじゃないのだ。

『困っている』『助けて』

そう言って泣きついて来るクセに、自分の耳が痛い事は聞こえないフリ(笑)
『あなたは悪くない』と言って貰いたいだけで、理解と許しと云う免罪符が欲しいだけだ。
誰もが他人のせいにして、ぬるま湯に浸かり改善する気さえない。

独りは嫌だと言うクセに家族を疎ましがる。
畳の上で皆に看取られて幸せに逝きたいと願うクセに『自分の思い通り、自由に生きる』希望と我欲を棄てられない。

孤高の孤独を享受し、心底楽しめる者にしか自由は獲られない。
当然ながら、自分で全てを背負う覚悟なくして自由など有り得ない。
見えない檻の軋轢から逃れる為、軽々しく口にするべき事ではないのだ。

独りは嫌なら、皆に看取られて幸せに逝きたいのなら、それなりの生き方をするのが筋ってもんだ。

ここから逃げたい…

そう思う事は何度もあったし、何度も逃げた。だけど、自分が変わらなきゃどこに逃げても同じ事を繰り返すだけだ。

悪いのは自分を理解してくれない周りではなく、理解を求めるだけで考えもせず、じっとしているだけの自分なのだから。

こんな事を言うと必ず返る言葉は
『私は(俺は)あなたのように強くない』
が定石ではあるが、聞く度に嫌悪感で吐き気がする。

私は決して強いワケじゃない。
自分の為に自分を律して生きている。

たったそれだけの事だ。



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