しばらくは事務所で仕事をする名目で会っていた。
仕事をしながら少しでもお互いの事を知りたくて、何時間も話をしていた。
彼の考え方価値観さりげない優しさ思いやり、全てが私の心を奪っていった。彼と一秒でも長く一緒にいたい。
私がそう感じるまで時間は掛からなかった。
こんなに分かり合える人と今まで出逢った事がなかった。
不思議な感覚だった。こんなに本音で家族以外と話をした事がなくて、会話のキャッチボールが凄く気持ちが良くて、沈黙の時間も心地良いなんて…
帰る間際の暗闇の中でだけ、熱いキスと抱擁、彼からの愛撫でお互い悶々としたまま帰る日が続いた。
いつもキスをされるだけで反応してしまう私の身体に彼は凄く喜んでくれていた。
『まだ何もしてないのにこんなになっちゃってるよ。』
そう言って彼に触れられると身体中から力が抜けてしまい、壁にもたれて立っているのが精一杯になってしまう。
彼も凄く我慢してくれていたんだと思う。いつもズボンがはちきれそうな位パンパンになっていた。
お互い何年もセックスレスで本当にエッチが出来るのか実は不安でもあった。でももし出来なくてもいいと思っていた。
そんな歳上の人とした事がなかったし、若い人とは体力も違うだろうからそのままの彼を受け入れようと思っていた。
それに事務所での愛撫だけで私は充分感じていたから…
彼はいつも私と肌の相性が凄くいいと言っていた。
満員電車で通勤している彼はどんなに美人でも肌が触れるとゾワッとしてしまうらしい(笑)だから凄く通勤が苦痛だと。いつも私の太腿を触っているのは、それだけで気持ちいいかららしい。
しばらくそんな日が続き、いよいよ彼が半休を取りホテルに行ける日が決まった。
彼は私をどんな風に抱いてくれるのだろう…
期待と不安が私の胸をドキドキさせた。
この歳になってこんな気持ちになるなんて思わなかった。