あんず小噺(59)
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ヒミツ・不明/その他

『精神の吸血鬼 ②』

15/3/25 23:33
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弁護士に債務整理を委任して、力や知恵を貸してくれた方々にも頭を下げて歩いたが、その間も全く他人事のような顔をしている。
バツが悪いのか?と思いきや、自分は悪くないと彼は本気で思っていた。

『自分は借金などするような人間ではなかったのに、この嫁のせいで俺はこんな事をした』

本人だけではなく、姑までそう思っていた。それが言動から透けて視えていたのだ。
債務整理を済ませた後、自分の至らなさを理由に私は離婚を申し出た。
彼ら母子は慌てふためき、必死で止める。

チンピラが取り立てに来たが、何故か私と娘が家に残り、本人は逃亡(笑)
取り立てが出来なくなる21時まで姑が匿っていた。
『愛しているから』の理由で殴られもした。
それがおかしいと声を上げる判断能力さえも狂っていたのだ。

彼は親切ではあったが、優しくはなかった。
ただ娘が産まれた時、泣いて喜び、就寝中に地震が起きた時、私と娘の上に覆い被さり身を挺した。
私はその点を視て、頭を下げ歩いていたのだが、彼はその気持ちを貫く事が出来なかった。とても残念だ。

腐せば腐すほど奮起していく私の姿が小憎たらしく、最後は脅威になっていたのだろう。私の方は奮起する気持ちと比例して卑屈さが増していく。
何度『シネ!』と言われただろうか。
翌日私が本当に死んだら、この男は言うのを止めるだろうか?どうやって贖うのだろうか?ついにシネとまで言われたか…
こんな両親が娘に何を伝えて育てるというのか?自分達の関係すらまともに築けていないのに、人の道など教えられる道理がない。
これは本来なら二人で語り合い、考えなければいけない事だ。その親が歪んで、考える事を放棄している。
モラハラの一番の被害者は娘だ。

言われた言葉に悩み苦しむ事はないが一生忘れる事はない。
それが放棄した私への罰だ。
今は少しづつではあるが、自分を取り戻しつつある。刷り込まれた年月が長いので、同等の時間は掛かる。

私を罵倒する彼の心に触れて耳を澄ませば、鬱屈した思い、醜い自己顕示、孤独に脅える哀しい声が聴こえてきた。
同じ様な人達は世の中に溢れかえっている。

自分の心の憂さを他人に向けてハラス(晴らす)メントは、この世から消え失せる事はない。
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