あんず小噺(59)
☆☆あんず☆☆☆☆☆(50)
ヒミツ・不明/その他

侍桜

14/6/14 19:14
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その桜の樹は ずっとそこに立っていた

何年も 何年も たった独りきりで

厳しい寒さも 吹き荒れる嵐も受け止め

心ない人間に枝を折られても

侍のように潔く 真っ直ぐ立っていた

季節になると 一斉に咲き誇る

命をたぎらせ 燃やし尽くし

今生に一切の未練もなく散ってゆく

廻る命が次の華を咲かせる日まで

その樹の息吹に願いを託して


私も 生きる

あの侍桜のように

魂をたぎらせ まっすぐに

命が尽きる その時まで

愛する者たちの幸せを願いながら

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