あんず小噺(59)
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ヒミツ・不明/その他

こんなトコで何ですが・・・

14/5/5 12:25
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かれこれ20年近く前、バイト仲間が事故で亡くなった。成人式を終えたばかり、本当にいいヤツだった。

『いい人ほど神様は早く連れて行く。こんな腐った世の中では生きられないから』

読んだか聞いたか忘れたが、そんな言葉を思い出していた。身体に触れるとまだ体温が微かに残っている。涙も出ない程、綺麗な顔をしていた。今でも鮮明に覚えている。

こんな呆気なくていいのか?命って何だよ?

それから私は『生きる』事を真剣に考えるようになった。青臭いとバカにされても、答えが出なくても考えていた。心臓が動いてるから生きてるワケじゃない。それはただの惰性だ。
誰にだって寿命はある。頭じゃ分かっていても、目の前にいて言葉を交わしてた人が数時間後にはもういない。その事を想像出来るだろうか?自分自身も同じだ。
ここでたまに『死ぬ死ぬ詐欺』をブチ上げてる輩がいるが、命を盾に人の気を引こうとする浅ましさに胸クソが悪くなる。己の命だ。好きにすればいいが、よそでやれ。

未だに連れて行かれてないって事は、腐った世の中に耐性があり、まだ役割があるのだろう。誰かに伝えなきゃいけない言葉があるのだろう。もしかしたら誰かの『たった一人』になる事もあるかも知れない。守ってあげたいだの甘っちょろい関係ではなく、切磋琢磨しながら互いを磨き、共に高みを目指していくような男性じゃないとダメなんだろうなぁと最近では思う。

時には『どうでもいい病』が発症する事もあるが、心の奥で亡くなった彼の端正な横顔が私に問いかけてくる。

『おまえは今、本当に生きてるか?』と。

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